Claude Code の fast mode は Opus の応答を最大 2.5 倍速くする代わりに、トークン単価が上がる設定だ。モデルが変わるわけではなく品質は同じ。どの場面で入れる価値があるか、対応モデル、そして「会話の途中でオンにすると高くつく」という課金の仕組みを整理する。
fast mode は別のモデルではない
fast mode は Claude Opus を、速度を優先した API 構成で動かすものだ。公式ドキュメントによれば、速さは最大 2.5 倍になる。モデル自体は同じなので、品質も能力も変わらない。返ってくるのが速くなる代わりに、トークン単価が上がる。
では、どんなときに払う価値があるのか。応答を待つあいだ手が止まっているなら、候補になる。公式ドキュメントが挙げるのは、コードの高速な反復やライブデバッグ、締め切りの厳しい作業のように、レイテンシがコストより重要な対話的作業だ。逆に、長時間の自律タスク、バッチ処理や CI/CD、コスト重視のワークロードでは標準モードの方が合うとされている。
対応モデルと VS Code・ブラウザ
対応するのは Opus 5.5・Opus 5・Opus 4.8 の 3 つ。Sonnet や Haiku では使えない。Claude Code v2.1.280 以降は、fast mode を有効にしたときに使われる既定のモデルが Opus 5.5 になった。
Opus 4.7 の fast mode は 2026 年 6 月 25 日に非推奨となり、7 月 24 日に削除された。現在 Opus 4.7 に切り替えると fast mode は自動的にオフになる。
VS Code 拡張でも使える。選んでいるモデルが fast mode に対応していれば「Toggle fast mode」コマンドが使え、切り替えた状態は CLI と同じ `fastMode` 設定に保存される。ブラウザの claude.ai/code でも、メッセージ欄のモデルメニューから切り替えられる。プランが fast mode を含み、選んでいるモデルが対応していれば、メニューにスイッチが出る。
オン・オフの方法
`/fast` を実行し、Space でオン/オフを切り替えて Enter で確定する。
/fastユーザー設定ファイルに書いて既定にすることもできる。
{
"fastMode": true
}オンにしたとき、fast mode 非対応のモデルを使っていた場合は自動で Opus に切り替わる。`Fast mode ON` が表示され、プロンプトの横に `↯` のアイコンが出る。もう一度 `/fast` を打てば現在の状態を確認できる。
逆にオフにしても Opus のままで、元のモデルには戻らない。別のモデルに移るなら `/model` を使う。
課金の落とし穴
ここは特に注意したい。**会話の中で初めて fast mode を有効にしたとき、その時点までの会話コンテキスト全体に対して、キャッシュ未使用の fast mode 入力単価が課金される**。
表の単価で概算すると、Opus 5.5 で会話が 10 万トークンに育ったところで初めて有効にした場合、入力 $8/MTok × 0.1M で約 $0.8 がその場で一度かかる(表の入力単価だけで見た概算で、キャッシュ書き込みの倍率は含めていない)。標準モードのままキャッシュが効いていれば、同じ部分はキャッシュヒット単価 $0.20/MTok で約 $0.02 で済んでいた。この一度きりの費用は会話の長さに比例するので、20 万トークンまで育っていれば同じ計算で約 $1.6 になる。
作業中のターンで `/fast` を実行した場合、そのターンは元の速度のまま終わり、速くなるのは次のターンからだ。キャッシュが外れるのも次のターンの最初のリクエストになる。この費用は 1 つの会話につき一度だけで、あとでオフにしてまたオンにしても、レートリミットで自動的に標準速度に戻っても、再度は取られない。ただし `/clear` や `/compact` を実行すると、この扱いはリセットされる。
だから、そのセッションで fast mode を使うと決めているなら、最初から入れておく方が安く済む。ただし最初から入れれば序盤のやり取りもすべて fast mode 単価になるので、使うかどうか迷うセッションで先回りして入れる理由にはならない。なお Sonnet など非対応のモデルからオンにした場合は、Opus への切り替えそのものでもキャッシュが作り直される。
fast mode の単価はモデルで違う。
| モデル | fast mode(入力 / 出力 per MTok) | 標準(入力 / 出力 per MTok) | |---|---|---| | Opus 5.5 | $8 / $40 | $4 / $20 | | Opus 5 | $10 / $50 | $5 / $25 | | Opus 4.8 | $10 / $50 | $5 / $25 |
3 モデルとも、fast mode の単価は標準のちょうど 2 倍になっている。出力側で見ると、Opus 5.5 で 1 万トークンの応答を受け取る場合、fast mode は $0.40、標準なら $0.20 だ。fast mode の単価は 1M のコンテキスト全域でフラットに適用される。
サブスクプランでは使用クレジットから引かれる
Pro / Max / Team / Enterprise で使う場合、fast mode の消費はプランに含まれる利用枠には入らず、使用クレジットから引かれる。プラン側の枠が残っていても、それは変わらない。
前提として、アカウントで使用クレジットが有効になっている必要がある。有効でないと `/fast` は「Fast mode requires usage credits」と表示し、オンにならない。
このメッセージが出たときの対処はプランで違う。
- Pro と Max — claude.ai の「Settings > Usage」にある Usage credits の欄で有効にする。`/usage-credits` を実行するとそのページが開く
- Team と Enterprise — 請求権限のあるメンバーが「Admin settings > Usage」で組織として有効にする。権限のないメンバーが `/usage-credits` を実行すると、管理者へリクエストが送られる
Team と Enterprise では fast mode 自体も既定で無効になっている。使用クレジットとは別の手続きで、Owner が「Admin Settings > Claude Code」で有効化しないとメンバーは使えない。
fast mode の支出がどこに付くかは、ログイン方法で変わる。`/status` に Login method の行(例: Claude Max account)があればサブスクリプション、API key の行なら Console の組織への請求だ。Pro と Max では claude.ai の Settings > Usage にある Usage credits 欄の今月の支出に fast mode 分も含まれるが、内訳は分かれない。Team と Enterprise では `/usage` で自分の使用クレジットの支出を確認できる。Console では Usage と Cost のページで Group by に Speed (Research Preview) を選ぶと、fast mode 分を分けて見られる。
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